「…まぁ、そんなに落ち込んじゃダメだよ?これから先、まだ何があるか分かんないしさ。何かあったら、すぐ私に言ってね。いつでも助けるから。」
「うん。ありかと、玲奈!」
玲奈がいると、本当に心強い。

なぜか遠く感じた通学路も、玲奈と一緒に歩いたら、今度は逆に近く感じた。

学校について、昇降口でローファーから上履きに履き替えて、3階の教室へ向かう。

私と玲奈が教室についてからしばらくすると、亜美が私の席に向かって、ニコニコしながら歩いてきた。

何の用かな。佑星の話かな。
今は、亜美とは何も話したくない気分なのに。

「ねぇ水恋~。私、なんか佑星におこられちゃったよ。」
「え?怒られた?って、何で…。」
佑星が返事どーするかとか、亜美の話はそんな内容のような気がしてた。
だけど、違うみたい。
「なんか昨日の放課後駅で会って、無表情で近づいてきて。そしたらいきなり『水恋だけには話すな』だって。すごい怒ってるみたいだった~。意味分かんないよね~。あ!私、隣のクラスに用あるから、じゃーね!」
そう言って、亜美は急いで教室を出て行った。

…てか、どーゆーこと?
佑星は、告白されたことを私に隠してるってこと?
でも、何で?

「水恋のこと好きなんじゃない?」

隣にいた玲奈が、ニヤニヤしながら低い声で言う。

「そんな訳ないじゃん。ケンカ友達なんだから。」
膨れっ面して、玲奈に言い返す。
そうすると玲奈は、「ふぅ~ん。」って言って、何か意味ありげにニヤニヤしていた。