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いつもと変わらない朝。
いつもと変わらない通学路。
何も変わってないはずなのに、なぜだか今日は遠く感じる。

「水恋おはよー!」
……バシッ!!
声が聞こえると同時に、私が後ろを振り向く間もなく、背中を思いきり叩かれる。
「ちょっと~、痛いよ玲奈ぁ(泣)」
「水恋が今痛いのは、叩かれた背中じゃなくて心じゃないの?」
私の隣を歩きながら、玲奈が私の顔を覗きこむ。
「え…何で?」
「昨日の放課後、教室で佑星くんに電話してたでしょ。で、亜美から聞いた話が本当らしくて傷ついてるんでしょ。」
え、ちょっとちょっと。
私、玲奈に昨日のこと全部話したっけ?
話してないよね??
思わずきょとんとしてしまう。
「水恋と亜美の会話も、放課後の電話も、私達、席隣なんだから全部聞こえてたよ。」
「あ、そーゆーことかぁ。」