ケンカ友達

静かに席に座りなおす。
だけど、まだ動揺している。
「な、何で!? 私、佑星のこと全然好きじゃないし、告ってもないけど!!」
「あれ、水恋じゃなかったか。」
私はこんなに動揺してるのに、亜美はあっさりしている。
「いや、あのね。先週、佑星からアタシにメールがきて。」
「メール?」
「うん。なんか、突然聞かれたの。『もし好きじゃない人に告白されたらどうする?』って。よく分かんないけど、佑星、誰かに告られたみたいだよ。佑星のクラスでも噂になってるし。」

…え、なにそれ。
佑星が誰かに告白された???
そんなの、初耳なんだけど。

…ズキン。
急に、胸の奥が締め付けられるみたいに痛くなる。
突然、不安な気持ちが一気に心の奥底から沸き上がってくるみたい。
だけど、私は無理して笑顔をつくる。
「そうだったの!? あのドS佑星に惚れちゃう子なんているんだねー(笑)」
「ねぇー、アタシもビックリ。あ、そろそろ授業始まるから、またねっ。」
そう言って亜美は、廊下側の自分の席に戻っていく。

佑星、誰かに告白されたって…誰かって、誰?
その話、本当なのかな。
もし本当だったとしたら、返事はどうするのかな?
OK…する? 付き合っちゃうのかな。

…てゆーか、何で亜美がそんなこと知ってるの?
佑星、何で亜美には話すのかな。
何で私には何も話してくれないのかな。
亜美より私の方が佑星と仲良い自信あるんだけど。
今まで佑星は、どんな小さなくだらない話でも、何かあるといつも私に話してくれたのに。
何で、私には何も言わないの?
最近の佑星から来るメールと言えば、相変わらず「暇」とか「眠い」とか、そんなことばっかりで。
「告白された」なんて、そんな話聞いたことない。

何で、亜美? 佑星と亜美って、そんな恋愛話できるくらいの特別な仲だったの?