「…ねぇ水恋さん? 恋って気づいただけで、どうしてそんなに落ち込んでるの?
恋の始まりって、もっとルンルン気分にならない?」
玲奈は、不思議そうな顔をして、私の顔をじーっと見ている。

確かに、誰かに恋したばかりって、その人のことで頭がいっぱいになって、すごく楽しい。
だけど、なんだか今は。
佑星に恋してるってなると…そこまで楽しくない。

“楽しい”とか“幸せ”って言うより、“戸惑い”の方が大きい。

「だってさー、どうしたらいいか分かんないんだもん。」
「“どうしたら”って?」
「私、今まで佑星のことは、ただのケンカ友達だと思ってたんだよね。それなのに、急に恋みたいな感情芽生えちゃって。本当、戸惑ってる。今まで、佑星のことそんな風に思ったことなかったし…。」

玲奈は、ゴクリと一口ペットボトルのお茶を飲んでから、ニコリと笑う。