車の音が
恐怖を感じさせた。

アイツだった。

私達を探して帰って来たのだろうその車は近くに止められ、私と離れて歩いていた弟たちは、暴言と暴力を浴びせられた。

すぐに私の方を向き、
まるで悪魔のようなその目を光らせて向かってきた。

忘れられない。

殴りかかろうとしてきたアイツを由利の母親が止めてくれた。

私は少しだけ助かった。

しかし、悲劇は続いた。

由利の母親にまで暴言を吐き、しまいには止めに入ったお姉さんにまで殴りかかった。

「関係ない人まで殴らないで!」

私は涙でぬれてグチャグチャになった顔で言った。
「ならお前が素直に殴られればいいだろ!!」
といって私を転ぶまで殴りとばした。

怒りははけ口を見つけられず、涙に変わってゆく。

悔しかった…