「これだけ言います。理解できなかったら黙っててよ」
例え大好きなまっくんが他の人に構ってても、それが理解できないなら黙っておけばいい。
私が先輩たちを理解できないのなら黙っておけばいい。
……まぁ普段の自分の行動とは矛盾しているかもしれないけれど。
私がこうやって叩かれる意味が本当に分からない。
表情を崩した先輩を睨みながら席を立った。
………夏穂、覚えてなさい。
そしてただ突っ立ってる先輩のよこを通り過ぎようとしたとき……。
「どうしたっ!?」
少し遅い、救世主がやって来た。
ほっとその姿を見るだけで無意識に全身の緊張が解けて力が抜ける。
気を抜いたからなのか先ほどとは比べものにならない痛みを頬に感じ、涙がその痛みの上を伝った。
「せんせっ」
そして私は、たまらずこちらに駆け寄ってくる先生の腰に抱き着いた。
「うおっ!?」
ざわざわ
さっきまで静かだった教室に動揺が走ったのだ分かった。
「……遅い」
でも私は溢れる涙にどうすればいいか分からず、ただ先生のお腹に強く顔をうずめ、手にも力を込めるだけだ。
「だ、大丈夫か……?」
おどおどしく私に聞いてくる先生。
ただ私は首を振った。
大丈夫なんかじゃない。
怖かった。
先輩3人にも囲まれて、理不尽な言いがかりをつけられて。
何度も言い返そうかと思ったけどずっと黙ってた。
それなのに、叩かれた。
痛い。
でもそれでも耐えていたのに、先生がいるだけで耐えきれなくなっちゃった。
先生の暖かさにさらに体を寄せる。


