そして前を向くと……真正面に先生が立っていた。
予想していなかったことに跳ねる鼓動。
あ……。
ちか、い。
先生は私の机に身を乗り出して、私が書いていたルーズリーフを見ていた。
「ったく。おーまーえーはー!遅刻して来たくせに授業は中断するし、やっと静かになったなと思えば教科書やノートすら出さずに何書いてんだ!」
「何って……お手紙?」
鼓動を隠すように先生を、上目遣いで見あげる。
すると先生はニンマリと笑ってきた。
「………その手紙読み上げるよ」
「………へ?あ、ちょ!」
先生に今書いていたルーズリーフを奪われた。
「えーっと? “でしょ?さすが美海でしょはーと。でも夏穂もいつもと変わらず可愛すぎるよーはーと。あと、美海は美海ねびっくりまーく。美魅なんかじゃないよびっくりまーく。わら…………………………。”い、以上 」
素晴らしいほどの棒読みだ。
爆笑してる人がちらほらいるし。
「……せんせ、まだ続きあるよ?」
次は私がニンマリと笑う番だ。
「じゅ、授業進めないと」
慌ててルーズリーフをぐしゃりと握り潰し、そのまま教壇に戻ろうとする先生。
どーせ私を困らせようとしてみた先生だけど。
まんまと墓穴を掘ったな。
「バイ、先生大好きの美海……って、ちゃんと書いてあるのに忘れないでよ?」
はっと先生を鼻で笑う。
私をハメようとするとか、まだまだ早いよ。
周りは今度こそ、みんなで大爆笑していた。
このクラスの名物。
私、美海と先生との異常な濃い絡みである。


