教室で愛を叫ぶ









それから夏穂はしばらくはしゃいでいたけれども。









時間をたっぷりかけて落ち着いたため、肩を並べて合コンの会場である場所へ向かった。











「わ、おねーさんたちすんごい美人だねー!どう?暇なら俺らと遊ばない?」









「暇じゃなぁーい。私たち、これから愛する彼氏とのデートあるからごめんなさいします」










時折絡んでくるナンパに適当に笑みで返す。









ヤンキーにはよく絡まれるから、対処法を学んでいるので怖くはない。










適当にへらへら笑って他の男の存在を出せば簡単に引いてくれる。











それに横で顔を歪めて犬のように威嚇する夏穂のお陰で、大抵の男はどん引きして去ってしまった。












「もぉ!ナンパうざい!しかもイケメンいないし!」










夏穂の面食いの夏穂らしき言動だ。









でも声をかけてくる男たちの顔はそれなりには整っているけど、全く好みではないとさらにキレている。











「でも、今日の合コンはイケメン揃いだから楽しみぃ!それに大学生で年上ってとこがツボ」













でも直ぐに機嫌が戻ってしまう単純な夏穂。











…………って、え?










今この人、何て言った?












「………大学生?」











思わず口から言葉が漏れてしまう。










「そーそ!しかも超頭いいとこ!頭も満点、顔も満点!」











……まさか、大学生とは。










せめて高3ぐらいだなって思ってたのに。










よく大学生なんかが高校生を相手にしてくれるなと、素直に驚いた。











そんなことを考えながら、またナンパを交わしながら歩くとどうやら目的の場所に着いたみたい。










夏穂が足を止めた。










そして夏穂が向けた視線の先を私もたどる。










……………あれ?










…………って、ここ。












「あ、そうそう!あたしと美海、大学生で成人してる設定だから」









「は?」









「バーなんだから、成人してないと入ることも出来ないもん!でもバレないから大丈夫。お酒弱いって言っとけばなんとかなる!」









なんとかなんねーよ。









思わず突っ込んでしまった。










ここは未成年はもちろん立ち入り禁止だけど、最近雑誌で良く紹介されているオシャレで少し崩れた雰囲気のバーだ。










でもバーというよりはかなり綺麗な飲み屋に近い……と、紹介されていたけど。










いやいや、それにしても。










本当に待って。










さすがにそれはマズイだろ、なんて思いながらも私の手をグイグイ引っ張って中に進む夏穂。










「ちょ、ちょっと…!学校にバレたらマズイって!」








咄嗟に浮かんできた夏穂を踏み止まらせるための言い訳は、こんな単純ないい子ちゃん解答。











「大丈夫!ばれるわけないじゃんっ!」








でもそれをただ笑顔で蹴り落とした夏穂。











いや、そもそもそこが一番の問題ではないんだけど。










私たち未成年だから。









お酒普通にダメだから。









てか私、お酒とか飲んたことないから。











私がいくら心の中で批判しても、受付のスーツをきた男の人は特に疑うことなく私と夏穂を席まで通してしまった。











もうやめておこうよ、とノリノリの夏穂に声をかけようとしたとき…。










「お待たせしましたー!」









にっこりと夏穂は上品な笑みを浮かべた。








え、帰らないの!?









思わず口に出しそうになったとき、チラリと夏穂が私に視線を投げてきた。








軽く首をフルも、にっこりとただ笑うだけ。








…………合コンに本当どれだけ命かけてるの、この子。










もうこれは心を決めるしかないのかもしれない。









心の中でため息を吐いた私は、ギーっと効果音の付きそうなぎこちなさで顔をテーブルに向けた。










そこには私たちをガン見するいくつかの視線。










私はただにっこりと笑みを作って笑った。









やだ、もう既に帰りたい。









でもそんなわけにはいかないもので。











既に女の子は2人来ており、男のほうも3人揃っていた。









夏穂が先に座り、私も一番通路側に腰掛ける。