沈黙の空間の中
土方さんがそんな空気を破った

「"わたしなんか”なんて言うんじゃねえ。自分にもう少し自信持て」

「土方さん…」

ほかの男に惚れられるのは気にくわねぇが…

そうボソッとつぶやいたことは私の耳には届いていなかった

「えっ?」

「なんでもねぇよ」

むすっとして目をそらす土方さんを見て、原田さんと永倉さんは何かを察したのか、顔を見合わせて頬を緩ませる。

「へぇ~、なるほどね」

「あ゛?」
 
ニヤニヤと笑う二人に土方さんは睨みを利かせる

土方さんに睨まれた二人は笑うのを止め、ササッと目線をそらす

こんな微笑ましい風景をずっとここで見れたら…

「…コホン、話が逸れかけたが、鈴音ちゃん、君がここにいたいと願ってくれるならば、ここにいるといい。…というかみんな君にいてほしいと思ってるよ」

ずっと話を静かに聞いていた近藤さんがそう言った。

「近藤さんの言う通りだぜ!それにもし何かあっても俺らはそこらへんの奴なんかより腕に自信があるぜ?だから…」

「平助君…」

「言ったでしょ?僕ら新撰組が鈴音ちゃん、君を守るって、幸せにするって」

「沖田さん…」

「そーいうこった!そう簡単に死んでたまるか」

「土方さん…」

暖かい言葉がぽっかり空いてしまった心に柔らかく溶けていく感覚を覚えながら私は静かに、そして確かに頷いた