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鈴音達から離れ、また馬にまたがる上様と呼ばれる男、
徳川家茂は不安そうな表情を浮かべる鈴音をみて愛しそうに目を細めた

「上様…」

良いのですか、とそばにいた従者が言った

「何がだ」

「確かに鈴音様はこの町でも、城でも一番お美しい。ですが…新撰組に飼われているなどと…」

「はっ、それがどうした。…あの顔、あの声全てが俺の心を射止めたのだ。新撰組や鈴音がどう答えても、必ず俺のものにする」


城に帰った家茂は鈴音のことを考えていた。
あの娘を新撰組に飼われていると考えると…無性に腹が立つ

透き通るような白い肌を他の男が触っているのか…
あの吸い込まれそうになる黒い大きな瞳に他の男を写しているのか…

…あの土方歳三、あいつも鈴音に惚れている

「ますますあそこに置いてはおけんな、」

そうボソッとつぶやき、鈴音に送る文を書くため、筆をとった