【原田side】

今日の俺は顔には出さないがいつもより気分がいい。
そこらへんの女がかすんで見えるほど、花のように美しい、可愛い鈴音を隣に連れて歩くことができるから。

...ただ、

「すーずね♪疲れたりしてねえか?」

「鈴音ちゃん、甘味に行くなら何食べたい?団子?それとも...」

...無駄に平助と総司も一緒に歩いているのが少し、不満だ。

鈴音が寄りたい、といって立ち寄った小物屋で、たくさんの簪を目を輝かせながら見つめる鈴音ちゃんは、無邪気で、純粋で、可愛い。

ふと、俺の目にとまった桜の簪。
あの娘の傷みひとつない艶のある黒髪にも、
白く透き通るような肌にも、
思わず口付けをしたくなるような血色のいい唇にも、
きっとこの桜の簪は映えるだろう。

鈴音本人にも気に入ってもらい、それを彼女に贈った。

早く新しく買った簪をつけた姿が見たくて、鈴音に簪をつけてあげると、少しはにかみながら

「....似合いますか?」

「とても似合うよ。本当に....」

そう言うと鈴音は、桜の花の様にふわり、と微笑む。

ドキッと心臓が鳴った気がした。




【原田side 終】