「皆はん、失礼いたします。ようおいでになられました。」

奥の部屋についた私は襖を開け、頭を下げる。

「お相手をさせていただきます、鈴と申します。どうぞ宜しくお願いいたしますえ」

そう微笑みながらお客の顔を見渡す。

「「おお…」」

「これが島原1の芸妓、鈴か。噂通り美しい」

「まあ、そんなことありまへん。口がお上手で…」

私はクスクスと笑う。本当のことを言ったまでだ。

そうすると奥に座っている、黒髪を結い上げた男と目が合った

「…?」