「……でさ、そいつが…………」
「へぇ〜…。…あ、そういえば…………」
ほら、今だって。
ただ、今日あったことの話をして。
ただ、一緒に並んで歩いてるだけ。
…私達幼馴染にとって、これは当たり前のことになっちゃってるから。
特別なことなんて、これっぽっちもない。
ちらっと、彼の空いている右手を見てみる。
……手、繋ぎたいな。
こう思うのは、彼と付き合い始めてから。
私、好きって気持ちに気付いちゃってから、どんどんそうちゃんのこと好きになってる。
…でも、私には自分から手を繋ぐ勇気なんてない。
私はぎゅっと、左手を握りしめた。

