神様の憂鬱

紗良奈は死にたがっていた。

自分のしたことがよほど許せなかったのかもしれない。

もしくは、生きていてもやりたいこと、

やり残したことが見つけられなかったのだろう。

例の彼にしてしまった過(あやま)ち。

そのせいで、自分のことを諦めてしまっていた。

そう、

ボクがこの世界に絶望していたように。

彼女は自分自身に絶望していたんだ。

ボクは、どうすればいい?

男のことは、すでに見つけていた。

そんなこと、ボクには簡単な作業だったから。

でも、それを紗良奈にはまだ伝えていない。

伝えれば、ボクは彼女の願いを叶えてしまうから。

なんらかの行動を起こし、もう戻れなくなってしまうから。