神様の憂鬱

手のひらの上から小石が逃げていく。

全てが落ちて軽くなると、また身体を前に倒して小石を掴んだ。

しばらくしてまた、パラパラと小石が落ちる。

大黒の社の前に座り、ずいぶんと長い間その作業だけを繰り返していた。

空には、いつのまにか太陽ではなく月と星が浮かんでいる。

天歌は――

顔を横に向けると、自分の社の上で座って月を見上げている彼女を見つけた。

ここに来て、こうしていて数時間が経つが、一言も話しかけてはこない。

きっと、彼女にはボクの考えていることがわかっているのだろう。

ボクは、さっきからなにを考えている?

それはもちろん紗良奈のことだ。

紗良奈の口から出てきた言葉、彼女の願いについて。

ボクには、彼女の気持ちがなんとなくだがわかった。

力を使わなくたって、理解できたような気がしたのだ。

たぶん、間違いなく。