そんな私に、仁は近づいてくる。
仁は私の元に来ると、私の肩の怪我を見て瞳を見開く。
仁は、ポケットからハンカチを取り出して、怪我を抑えてくれた。
「ごめんな。」
ポツンと静かな道に、仁の声が響いた。
仁は拳を握っていて、私に悟られないよう静かに怒ってる。
仁にお礼を言わないと。
「あのっ、」
声が震えて、言いたいことが言えない。
怖い、怖い。
今でも目を閉じれば、今さっきの事が鮮明に思い浮かぶ。
ナイフが肩に刺さって、赤く染まって…。
もうっ、私。
「っぁ、うっ、」
嗚咽が止まらない。
本当に殺されると思った。
私は喉を抑えて、ヒューヒューと過呼吸になるの止める。