「おい、お前ら散れ。そいつ置いてな。」
頭上から声が聞こえた。
男の声、聞き覚えがある綺麗な声。
2人組の男は、私から腕を離した。
そして、パタパタと急いで廊下を走る音が聞こえた。
「もういい、顔を上げろ。」
男の人の言葉に、私はビクッと驚く。
威圧するような低い声、けれど逆らうことが出来ないような声。
ゆっくりと顔を上げた。
「「あっ」」
2人の声が重なった。
私は嬉しくて、口角が上がる。
「大丈夫か、由奈?」
「大丈夫だよ、ありがとう。」
名前を呼ばれて胸がキュンっと鳴る。
何だろうこれ、胸らへんが熱くなる。

