触りたい。 気づけば手は伸びていて、彼の髪の毛に触れていた。 サラッ なびく彼の髪、シャンプーの匂いが鼻をくすぐる。 「綺麗な髪。」 ポツリと口から、そんな言葉が出た。 「そりゃーどうも。」 声が聴こえたので、仁さんを見てみた。 パッチリと目は見開いていて、口の端は上がって満面の笑みだった。 「えっ!」 狸の寝入りをしてたなんて。 赤くなっていく頬を抑えて、顔を背けた。 多分、茹でたこのように顔が赤くなってると思う。 とてつもなく、恥ずかしい。