「あの―。」ドンドン 誰かがトイレのドアをたたいて、私の言葉がさえぎられる。 「早く出て。」水瀬さんが早く出るように催促する。 さすがに電話が長すぎたみたい。 「ごめんね、切るね。」 急いで電話を切って、扉を開いてた。 「遅くなって、すみません。」 会釈すると、水瀬さんの横を通る。 洗面所に行く前に座っていた席に戻る。 持ってきてくれたココアはすでに冷め切っていて、結構な時間がたったことに気付く。 時計を見ると、もう十時ちかくになっていた。