「な、なによ、偽善者ぶって。」
「前みたいに、痛い思いしたくないなら黙ってなさいよ!」
白石ちゃんは、また私を叩こうとした。
反射的に、ギュッとまぶたを閉じた。
「・・・・・・・あれ?」
いつまでたっても、痛みなんかこない。
不意に目を開けてみると、白石ちゃんの腕をつかむ仁が居た。
助けに来たことに感動して、また涙がこぼれていく。
仁が白石ちゃんを睨む。
「痛い思いって、何?」
「前も何かしたのか?」
仁が白石ちゃんの腕に、力を込める。
白石ちゃんは、涙をこらえて、痛みを我慢している。
私は足を怪我させられて、叩かれて、蹴られて、ウソだって言われた。
散々、心だって体だって、痛い思いをさせられた。
だから、ざまみろって思う所なんだよね。

