「人の男を取った気分は、どう?」
「仁は誰とも付き合ってないって、なんで嘘ついたの?」
白石ちゃんは、手を振り上げた。
そして次の瞬間、乾いた音ともに頬に痛みが走った。
叩かれたって、すぐに気づいた。
「周りはあなたの事嫌いだよ。」
「ものすごく嫌いって、うざいって。」
白石ちゃんは、息を止めることなく次々と言葉を発する。
皆が私の事をどう思ってるか、どうしてもらいたいか。
酷い言葉ばかり、言われる。
白石ちゃんは、すべて話し終わると、肩を使って呼吸をする。
「嘘、だね。」
「皆はそんなこと言わないよ。」
白石ちゃんの瞳は、ゆらりと揺れた。
そして、私の肩を掴んで、激しく揺らし始めた。

