「お前、美郷のことも考えろよ」


康が、湊に言う。


美郷のこと?


不思議に思い、美郷に視線を移すと、敵意からなのか、それとも憎しみからなのか?


よくわからない、憎悪の目で睨まれる。


あたしは、そんな美郷の姿を始めて見た。


いつも明るくて、優しい美郷からは想像すら出来ない。


そんな美郷の瞳から逃げるように、あたしは視線をずらした。


「俺、ちょっと百瀬さんと話があるから、適当に回ってて」

「え?」


あたしは、悠夢の言葉に驚く。


「行こう?」


悠夢は、そんなあたしにお構いなしにあたしの手を引き、歩き出す。


その悠夢の手に引かれ、あたしはその場を後にした。