瑠奈が指定した所まで、演奏が終わったのか。


音を失う、室内。


時計の針の音が、ヤケに存在感を示す。


「良い曲だね、チャキ」


静かだった室内で、瑠奈があたしに言う。


「悪くわねぇな。まぁ、まだまだ素人のだけど」

「でも、これにアレンジを加えたら、最高の曲になる」

「まぁな」


伊吹の言葉に、奏も同意する。


「それに、、、チャキの歌があれば、最高の歌にもなる」

「、、、瑠奈」

「何、泣きそうな顔してんのよ。あたし達に、立ち止まってる時間はないんだよ。曲が完成したら、歌詞はチャキがつけるんだよ。どんな歌詞にするか、考えておきなさいよ」


、、、そうだ。


今のあたし達に、立ち止まる時間はない。


あたし達は今、前を見て、ただ我武者羅に進む時間(とき)だ。