「いい加減部屋で寝てくれないか」
「僕に部屋なんて必要ないんです。押し入れのこのスペースで十分です」

そう言って聞かない水瀬輝。
こんなやり取りが何年と続いている。

輝がこの生活スタイルになった原因が父親の再婚だった。

最初は夜に外にいるのが気になっただけだった。でも異変に気づいたのが輝の体にできていた無数の傷痕だった。
問い詰めると再婚相手から虐待を受けていたという。

それでも輝があの家を出なかった理由が父親だった。
父親だけは輝の味方だった。