【短編】さよならなんて言えなくて



いつものように、貴方の腕に抱かれているとき。


「結婚‥してーなあ」

貴方は、何気なく言ったのかもしれない。

その言葉に深い意味なんてないのかもしれない。


でも‥

でもね‥

私は、すごくすごく嬉しかったんだよ。

やっばり女の子だもん。

大好きな人と結婚して、幸せに暮らす‥

そういうのが夢なんだもん。


やっぱり悠真との結婚を夢見たりしてるんだよ。

それなのに、貴方がそんなこと言うもんだから‥


現実になるんじゃないか、なんて期待しちゃったよ。

いつまでも、いつまでもこの幸せが続くんだって、なんの疑いもなくそう思ってたの‥。