【短編】さよならなんて言えなくて



「今日、うち誰もいないから‥来ない?」

付き合い始めて半年くらい経った頃。

悠真が少し照れくさそうにそう言った。


でも、今回は‥二人きり。

悠真と二人きりで一晩を共に過ごす。

不安がないと言えば嘘になるけど、悠真と一緒にいられることが単純に嬉しかった。



―夜も更け、日付も変わろうとした頃。

「好きだよ‥」

私を後ろから優しく抱き締めながら、耳元で甘い言葉を囁く。


貴方の鼓動が背中越しに伝わってきて、私までも緊張してきちゃう。

不安なのは貴方も一緒なんだって、妙に安心したんだよ。