桃之助が変なヤツかもしれないと言ったその先輩には、すぐに会えた。



なぜなら、バイト初日でシフトが被っていたからだ。





「じゃ、2人とも今日からよろしくね!」



相変わらず、人の良さそうな笑顔を浮かべた真波さんの隣には、ものすごく背の高い男の人が立っていた。


185cmはあるんじゃないか?




「こ、この人が、桃が言ってた先輩?」


「そうみてぇだな」



無造作にセットされた黒髪の間から、冷めた瞳が覗いている。
左目の下にあるホクロがセクシーだが、威圧的なその身長に若干恐怖を抱く。



まぁ、そんなのはあたしだけみたいだけど。


あたしに比べて、桃之助は堂々としていた。
というか、特になにも気にしていないのだろう。



「紹介するね。彼は新見 亮太くん。
2人には今日からここで働いてもらうワケなんだけども、わからないこともあるだろうし、一応教育係として亮太くんに2人をサポートしてもらうよ」



「よろしくお願いします」


あたしがヒョコッと頭を下げると、新見先輩はダルそうに、

「よろしく」

と言った。