帰り道

大樹は何も喋らない。
手も繋がない。
微妙な距離感。


やば、泣きそう...


「瑞穂...」

低く大樹の声がする。

どうしよう。
翔くんのことで怒っててまさか別れようとか...?


そう思うと胸がきゅんと痛くなる。

でも私に別れを渋る言い訳なんてない。
実際翔くんと二人でカフェにいたんだ。
それは事実なんだから。

「なに...?」

少し声が震えた。

視界が曇る。
涙が出そうだ。


「瑞穂、俺ら....」

「大樹っ!」


大樹が言葉を発しようとした時誰かが大樹を呼んだ。

声がする方を見た。

そこには茶髪の小柄な女の子がいた。

「大樹っ!会いたかった!」

彼女は大樹に向かって走ってそして私の目の前で抱きついた。

「渚...」