中学に上がってから、琴音が剣道を始めたのをきっかけに俺も道場に通い始めた。琴音も同じ道場だ、親父が彼女の様子を見るようにと言ったのもある、が剣道なら力をつけるためにやってもいいと言われたから剣道を始めた。
週末や休日は刃を交えた。それが楽しくかったけれど、不安だった。いつまで彼女とこうして剣道をできるかと…ーーー
「琴音…ごめん…。」
俺はいつもあいつに励まされた。俺はある手拭いを出して、それを見る。
剣道を始めて、初めて勝った時あいつが俺にくれた手拭い。あいつが選びそうなシンプルなものだ。女の子なのに、侍のことを好きになったあいつが選ぶものはいつも、シンプルだった。
不意に見せる泣き顔を見るたびに、俺が守りたいと思った。
でも…
「守れなかった…」
視界がにじみ、頬に水が伝う、手拭いを握り締めた。
「クソぉ…クソぉ…」
泣き虫だった俺はあの五歳の時以来初めて泣いた。
週末や休日は刃を交えた。それが楽しくかったけれど、不安だった。いつまで彼女とこうして剣道をできるかと…ーーー
「琴音…ごめん…。」
俺はいつもあいつに励まされた。俺はある手拭いを出して、それを見る。
剣道を始めて、初めて勝った時あいつが俺にくれた手拭い。あいつが選びそうなシンプルなものだ。女の子なのに、侍のことを好きになったあいつが選ぶものはいつも、シンプルだった。
不意に見せる泣き顔を見るたびに、俺が守りたいと思った。
でも…
「守れなかった…」
視界がにじみ、頬に水が伝う、手拭いを握り締めた。
「クソぉ…クソぉ…」
泣き虫だった俺はあの五歳の時以来初めて泣いた。
