桜と躑躅

「ふふふ。」
「?」
つい笑ってしまうとその子はまた首を傾げた。
「ごめんね、ありがとう。」
「笑ったね!」
礼を言うとその子はとても明るい顔になった。その顔はつい見ほれてしまうほどだった。
女の子は俺から手を離した。

「あなたの名前は?」
「僕?そう、たまなそうやだよ。
君は?」
「ことね。さながことねだよ。
そうや…くん?」
「そうでいいよ?僕はどうすればいい?」
他人行儀になったその子に俺は笑いかけながら、声を掛ける。
「じゃあ、そうくん!
私はことねってよんで!」
ことねはまた、笑顔になる。
「よろしくね、ことね。」
「うん!そうくん!」

それが初め会った時のこと。