桜と躑躅


それから…幾月か過ぎて、私は最高学年になった。もう受験生…どこに行くかなんて決めない。ただ毎日を送るだけだった。

「明日も、しっかりやるように。以上!」
「ありがとうございました!!」
今日もようやく部活が終わった。
私は、しばらくまえから手首の病を患い、後輩のサポートに回る。けれど、最後の三十分くらいは病院の先生が許可をくれて、稽古をしてる。

その後はいつも通り、着替えて道場で先生の防具の片付け、道場を後にする。
「ありがとうございました。さようなら。」
この一言を、道場にかけて。

駐輪場には、部活終わりや委員会終わりであろう人がたくさんいる。
「いるかなぁ」
いつも一緒に帰る、華苗の自転車を探してみたが、見つからず1人で駐輪場を後にして、学校を出た。
(中を通って帰りたいな…蒼君のことも気になるし…)
中側には、人も少ない。
それに今日は何もないので、あの神社にいきたかった。

神社といえば神社だけど、幼馴染の珠名蒼矢(たまな そうや)の家だった。幼い頃に、いつもお世話になったところだ。

「こんばんは〜。」
私は鳥居に礼
をして、中に入る。
「はあい…お?琴音か。お疲れさま、部活。」
彼は家を継ぐからと部活は帰宅部。家で陰陽道を教え込まれてるらしい。
「ヤッホー、そうくん。」
「おぅ、きてくれて嬉しいんだが、今からここを閉めなきゃならないんだ。だから、今週末またきてくれる?」
少し、申し訳なさそうに蒼くんは言った。
「そうなんだ…わかった。また来るね。」
「あぁ、ごめんね。」
仕方なく、私達は挨拶を交わし、家へと向かった。