桜と躑躅

「嘘…何処なの?」
目の前に広がったのはコンクリートで作られた地面ではない、見慣れた煉瓦屋根の家でもない、信号もない世界。
そして、私の周りを歩く人は皆が皆洋服ではなく着物を身に纏っていて私をじろじろと見る。私は学校の制服なのだから異質になるのは一目瞭然だ。
「なんやあの子。」
「メリケンやないの?」
そんな会話が聞こえてくる。

「っ……。」
私は走り出す。怖かった、人に見られたことなど数少なくて、今まで学年の委員長として、学級委員として皆の前に立ったことはあったけれど、 知っているかおがないからだ。いままで見ていた景色には必ず私の知っている人が居た。
「っ!!!?」「お!?」
下を向いて走っていた、目の前に人がいることに気づかなくってぶつかってしまう。