桜と躑躅

「髪…が。」
髪の毛を結んでいた、ヘアゴムが切れているようで髪が肩にかかっていた。

私は、木刀の力を借りて立ち上がり、ヨロヨロと立ち上がり、戸の方に向かう…その時だ。
「ーーーー!!!」
誰かが大声をあげた、次の時刀の交わる音が響き始めた。
「な、なして……?」
(現代では刀の音なんて演武くらいしか見たことがない。それに今は、銃刀法がある。刀が交わる音なんてしないはず…)
そんな疑問を抱えながら音のする方へ歩く。
「っ!!」
廊下に出た途端、血の匂いが私の鼻につく。
(き、気持ち悪い…)
着物で鼻を覆いながら周りを見ると、だんだら模様の羽織を着た人が見える。
「誰だ!」
その人の顔は暗闇で誰かわからなかったがそのだんだらで私は誰かわかる。その人からも血の匂いがする。
「しん…せん…ぐみ…。」
先程まで意識が無かったのもあってか、視界が黒くなる。
何故彼が新撰組だとわかったのか、それなの簡単だ、だんだら模様の羽織は新撰組しか思い浮かばなかったのだ。
「?我々を知っているのか?君は東の者か、それとも…。」
そういう彼の言葉が耳には入っても応えられず、私は支えにしていた桜が傾くのに気付きながら手を伸ばす。
「助け…て…。」
私はそれだけを言って意識を飛ばす。
「おい!おい!」
倒れた私を助けたのは新撰組の近藤勇だということを知ったのをこの時の私は知らなかった。