幼なじみは恋ドロボー!!

夏祭りまで1週間をきった頃、あたしは実行委員の雑務に追われていた。

クラスの出し物のお化け屋敷は陽翔にまかせっきりでほとんど関わってない。

一体どんな出し物になってるんだか。

『委員長ちょっと相談なんだけど??』

そう言って話かけてきたのは隣のクラスの実行委員の町屋巧くん。

高校に入って同じクラスになったことはないけど彼を知らない人はいないってくらいの有名人。

町屋くんは細身の長身。

黒髪が特徴的なイケメンで、しかも学年トップの秀才。

実家は代々続くお医者さん一家。

何で彼を差し置いてあたしが委員長なんだろう??

『委員長??』

あたしはすっかり町屋くんをほったらかして考え事をしていた。

『あっ!ごめん。何??何か問題??』

『いや、夏祭りでラストに上げる花火のことなんだけど今日、花火師の人と打ち合わせだよね?』

『そうだっけ?』

あたしは自分のスケジュール帳をパラパラめくる。

あたしの手帳には明日に予定が入ってる。

『明日のはずだけど?変更になった?』

『昨日連絡あって今日に変更になったって副委員長には伝えたんだけど聞いてない?』

聞いてない‼

陽翔のやつあたしにそんな大事な事話してないなんて信じられない。

『陽翔~!!』

あたしは会議室で叫ぶ。

返事はない。

あいつどこに行った??

見つけたらただじゃおかない。