亜樹が康平に言った。
「携帯のストラップを買いたいんだけど、君も探す義務があるんだから付き合ってよ」
「え?」
「君も、私の携帯にお世話になってるんだからさ」
「まぁ……それはそうだけどさぁ」
「チョット康平を借りるわね」
亜樹が言うと健太が笑った。
「別にいいけど、康平のセンスに過剰な期待はしない方がいいぜ」
綾香は健太と小物入れを一緒に探していた。
不思議な面持ちで亜樹について行く康平だった。
亜樹は携帯ストラップのある場所で、綾香と健太が近くにいないのを確認してから康平に訊いた。
「康平、今日は朝走るの休みじゃなかったっけ?」
亜樹は、康平が朝走っている事を誰にも言わないようにしているのを知っていた。
「い、色々事情があったんだよ」
康平は、目覚ましのアラームの設定し忘れからムクんだ顔を治す為に走った事を亜樹に説明した。


