六時半からの筈だが元気が有り余っているらしく、三十分前から遊んでいた。

 そそくさと通り過ぎた康平だったが、後ろから声がしていた。

「あの人走んのオッセ」

「シュンの方が絶対ハエーよな」

「康平君て、ボクシングやってるんだって!」

「うちの母ちゃん、もうすぐ辞めるだろうって言ってたぜ」


 いつの時代でも陰口が下手な小学生はいる。言ってる事は全て康平に聞こえていた。

 小学生達の会話は、康平の心にグサグサと突き刺さった。


 家に着いた康平は、二度とこんな想いを味わいたくないので時間をズラして走ろうと思った。

 ラジオ体操が終わってから走るのは、どう考えても困難である。彼等がいつ帰るか保証がない。

 そこで、朝四時からのジョギングをする羽目になったのだ。


 小さな悪魔達によって、康平はより規則正しい夏休みをおくることになった。