失 楽 園




恭ちゃんはなんだかわけのわからない、
言葉になっていない言葉を
吐き出しながら私の膝に
頬を擦り寄せた。

泣いて、いるのだろうか。

私はがくがく震える、
弟の大きくて小さな身体を
撫でようとしたが、出来なかった。

左手首を抑え、私は弟に訴える。


なんでもない。出ていって。


顔を上げた弟の瞳は、
やはり、濡れていた。



その時の傷は、
いまもまだ残っている。

お風呂に入るときによく、
子供たちに聞かれたものだ。

あの男が諌めたのか、
聞かれることは少なくなったが――……。