じりじりと訴えてくる痛みに
唇を噛んで耐えていたら、
誰かが部屋のドアをノックした。
親ならノックなんてしない。
とすれば恭ちゃんしかいない。
私は焦って置いてあった
ティッシュで鋏を拭い、
傷口に滲んだ血を拭った。
「姉さん?」
思った通り、恭ちゃんの声が
ドアの向こうから聞こえてくる。
いかにも心配していますというような
白々しいその声音は、
更に私を苛立たせた。
深呼吸をして、
念入りにもう一度だけ
傷口を拭ってから、
私はドアの外に嫌味ったらしく
救急箱を持って立っているのであろう
恭ちゃんに向かって
「どうぞ」とだけ言った。
