失 楽 園




「ママ……」


優蛇はひっく、と
しゃくりあげている。

 泣いているのだろうか。

子供は親の不安を敏感に
感じるというから、
もしかしたら優蛇を不安に
させてしまったのかもしれない。

何処か奇妙な既視感を覚えながら、
私は出来るだけ優しい声で
優蛇に言った。


「優蛇。ママは大丈夫だから。ちょっとうっかりしちゃったの。だから心配しないで、パパのところにいてちょうだい。ね?」


すると優蛇は、
こっくりと頷いて
私の腕の中から
離れていった。

段々足音が遠ざかっていく。

私はため息をつき、
サラダを作り終えてしまおうと
立ち上がった――……。