失 楽 園




『恭ちゃん』



 それは、一線だった。

私のテリトリーに
これ以上入ってくるな。

私はそれを弟に示していたのだ。

だが賢い筈の弟は存外に鈍感で、
私の微妙なニュアンスには
気が付かないようだった。

 全くもって、腹立たしい。

そして私は、弟に対して
ある疑念を抱くようになっていた。

弟はいつだって私を心配するくせに、
私が両親から暴力を
振るわれていても、
助けに来ることはなかった。