『恭ちゃん』 それは、一線だった。 私のテリトリーに これ以上入ってくるな。 私はそれを弟に示していたのだ。 だが賢い筈の弟は存外に鈍感で、 私の微妙なニュアンスには 気が付かないようだった。 全くもって、腹立たしい。 そして私は、弟に対して ある疑念を抱くようになっていた。 弟はいつだって私を心配するくせに、 私が両親から暴力を 振るわれていても、 助けに来ることはなかった。