失 楽 園




一瞬なんのことか分からず、
私は戸惑うが、すぐに
男が問うてるものを
理解してギクリとする。

男が聞いているのは、
きっと私が用意した
睡眠薬のことだろう。

私は必死で平静を装い、
男の質問に答えた。


「コラーゲンよ。粉末の」

「ふうん?」

「眞鍋さんから頂いたの。新発売なんだって」


そうやって彼の同僚でもある
男の名をあげれば、
男は納得したように
私から離れた。

それにほっとするが、
すぐにそのささやかな
安心感は奪われた。

男は乱暴に私の肩を掴み、
顔を向かい合わせにさせたのだ。