「彼女と結婚したいんだ」
ケイタはそう、憎らしいくらいの笑顔で
僕に言った。
隣りには姉さん。
姉さんは無表情で、
黙ってケイタに肩を抱かれ、
ケイタの肩に頭を預けていた。
「順番が……あー、
逆、になったけど……」
言いにくそうに言葉を濁すが、
ケイタの顔は幸せに満ちていた。
頭は鈍器で殴られたような
痛みを訴えていた。
僕はいつの日か
両親に見せていた偽物の笑顔を
顔に貼り付け、
ふたりを祝福した。
その夜、僕は自室に姉さんを呼んだ。
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