翌日の休日。
 霧の様子は変わらなかったが、どうやら空には太陽が登っているよう様子がわかる。
 あれ?ここは・・・。
 矢子が目を覚ますと、そこには見慣れない光景が辺りに広がっていた。
「そうか私、あのまま寝て・・・、あっ、善明は?」
 キョロキョロと善明の姿を探すが、善明の姿は当然そこにはなく、矢子は部屋を飛び出した。
 宿の奇妙さに目もくれず、部屋を一つ一つしらみつぶしに探そうとした。
「矢子おはよう」
 少し離れたところに善明は何やら朝食を持って現れ、矢子はそれを見てホッと一息。
「どうしたの朝から?」
「もうー、善明が一人で探しに行ったって思ったでしょう!」
「ペンライトがないし、そんな無茶なことはしないって」
「まあそうだね。それよりその朝食どうしたの?」
「ああ、これ?キッチンを借りて作った」
「作ったって、勝手にそんなことして大丈夫なの?」