相沢矢子の『旧約魔法』レポート

 ちゃんと寝てるな。
 あの後、矢子を抱えて部屋に連れて行き、すでにクタクタになっていた善明は、矢子から少し離れた部屋で休む事に。
 重い身体を引きずるように歩き、何とか部屋につくと、そのまま布団もしかぬまま床に倒れるように。
「あ〜あ、疲れた〜」
 最後の気力を振り絞って出した一言。その言葉の後は何も考えないようにと頭をカラッポに。
「・・・・・」
 だが、善明の頭は何故か冴えたまま眠ることが出来ず、あることが引っ掛かていた。
 善明はもう忘れようとギュッと目をつぶって、早く寝ることに決めた。
 が、矢子の苦しんでいた顔を思い出すと、いてもたってもいれず、何とかしてあげたいという気持ちから眠れない。
『君たちのどちらか片方が宿から抜けようものなら私は明日の案内は断るし、ペンライトも渡さない』
 マーベラーのあの言葉が、頭の中にこだまし、気持ちとは裏腹に行動が出来ない。