相沢矢子の『旧約魔法』レポート

「オレも取ろうかな。何か便利そうだし」
「でも実際は使えないよ?私も格好良さそうだから会得したけど、実際に使うことはないし、たまにこんな依頼が来るくらいだし」
「でもカッコイイじゃん。ファイヤーとか使ってみたいし」
「そういうのは難しいよ?私は水の魔法を取ったけど、半年以上時間がかかったし」
「水の魔法か・・・・・」
「どうし・・・」
 シー。
 矢子の口を塞ぎ、時計台の入り口に目をやると、開きっぱなしの扉の向こうから何やら人らしき影がそこに。
 誰だ!?
 大声で威嚇する善明の手は僅かに震え、その震えは口を塞がれている矢子にも伝わった。
「私だよ私」
「私?オレたちはここの住人じゃないから、私って言われてもわかるわけないだろう」
「私だよ。マーベラーだ」
 そう言いながら姿を表した男。
 その男は年齢が40代くらいの渋めな男で、ガーターン美術館に飾ってあった青年の絵とは違った人物がそこに。