相沢矢子の『旧約魔法』レポート

「ここじゃあダメなの？」
「あ、出来るならここ以外で」
「うんいいよ。それなら中庭に行こうか？あそこならいい？」
　矢子はその中庭の方を指差し、善明は大きく頷いた。
「ありがとう相沢さん」
　善明と矢子は一旦教室を後にし、一階にある中庭へ。
　中庭に行く最中、善明は何を話していいかわからず、矢子の方も一度も話したことがない善明に何を話したらいいかわからない。


　何の会話もないまま、二人は中庭に到着。雨はすっかり上がっており、中庭にある校長の銅像は濡れている。
　中庭の地面はほとんどが土で出来ているため、ところどころぬかるんでおり、設置されたベンチも雨で座れなくなっていた。
「ゲッ、ダメじゃん」
「どうする？場所変える？」
「あ、うん。どうしようか・・・」
　善明は一人ああでもないこうでもないと考え、最初黙って聞いていた矢子も、善明の決めきれない態度に次第にイライラが募る。