相沢矢子の『旧約魔法』レポート

 あることを忘れたまま、二人は図書館から時計台のあるとこへ。今度は善明がペンライトを持ち、反対の手で矢子の手を引いた。
 まだ恥ずかしい・・・。
 今更ながら照れている矢子の手は、無意識に力が入り、善明は善明で矢子が不安になっているのだと思い、不安にさせないよう矢子の手を強く握って、次の目的地の時計台へ。


 二人は時計台を見た瞬間、驚きを隠せなかった。何故ならこの街に似つかわしくないほどゴツゴツしているような造りな上、やたらと大きい。
 上の方から時計の針の音が聞こえるが、霧のせいなのかどうかわからないが、文字盤は全く見えない。
 カーン、カーン、カーーーン。
 時間を知らせる鐘の音は、この建物に似合わないほど柔らかい音色を奏で、まるで矢子と善明を祝福するような音。
「綺麗な音色だね」
「矢子ってそういうのわかるんだ?」
「何それどういう意味?」
「さあどうだか」