相沢矢子の『旧約魔法』レポート

「でも依頼では装置を止めてくれとも言っていたし」
『それが一番なんだが、霧除去装置が完成出来たら無力化できるからね。わざわざ危険を犯す必要はないさ』
「・・・はあ」
『依頼料はちゃんと振り込むから、安心したまえ』
「わかりました。それでは失礼します」
 矢子と善明はマーベラーとトーマスに別れを告げ、美術館に出るとペンライトの光に導かれるように、最初に着いた場所へ。


 何となく気分の晴れない矢子の心はモヤモヤし、顔もどことなく不機嫌そう。
 それにしてもどうするんだろう。
 善明はボソっと一言。それを聞き逃さなかった矢子は善明に顔を近づける。
「それどういう意味?」
「霧除去装置だっけ?あれなしでどうする気なのかな〜って」
「え?どういうこと?」
「絵を取り戻してほしいってのはウソじゃないだろうけど、本当はあの装置を止める若しくは破壊してほしかったんじゃないかなって」