相沢矢子の『旧約魔法』レポート

 だが、善明の足は重く、とても2分で着くような足取りではない。
 う〜ん、どう切り出せばいいかな。
 善明が悩むのは訳があった。
 まず、善明はその相手と話した記憶などないこと。
 そして、クラスの男子の何人かは、彼女に告白をしたが、相手にされなかった。
 そのため、善明が話しかけても相手は告白と勘違いし、取材に応じてくれないのではないかもしれないということ。


 ハァーとため息を吐き、ホッペをパンパンと叩くと善明は自分の教室にダッシュし、いつもなら2分かかるところ、今日は1分30秒で到着。
 教室に入ると今日の授業を終えているため、生徒の数はまばらであった。
 えっと、相沢さん、相沢さん・・・。
 キョロキョロと辺りを探すと、矢子はクラスの女友達数人と楽しそうに話しており、善明には近寄りがたい状況であった。
 まず善明は、矢子の周りにいる女性が減るのを待つことにした。