相沢矢子の『旧約魔法』レポート

 ただ、最近掃除をされていないのか、指でテーブルをなぞってみると手にホコリがベッタリ。
 誰もいなさそうだけど。
 部屋にあったタンスを始め、隅から隅まで人が隠れられそうなところを探すが何も見つからない。
「もしかしたら・・・」
 部屋に敷いていた絨毯(じゅうたん)を引っぺがすが下の床は特に何の変哲もないフローリング。
「まあ何にもないとは思っていたけどね」
 善明は散らかした物を元に戻し、軽く辺りに不審な物がないことを確認してこの部屋を後にした。
「次はこの部屋か」
 次の部屋は先ほどの倍近く広い部屋で、豪華なソファーやきらびやかな装飾で作られた照明器具。
 また、厳重に保管されている高級そうなワインや高級食器も綺麗に陳列されていたが、善明は淡々と捜索開始。
「う〜ん。本当に何にも見つからないな」
 置いてある家具や配置が違う以外変わった様子はなく、また人影なども感じられない。